18.ブルーライト
保健師便り2017.10.03 7095view
『10』と『10』を90度回転させると、ちょうど目の形に見えることから定められたそうです。今回は目の愛護デーにちなんで、最近話題の「ブルーライト」についてのおはなしです。
最近よく耳にする「ブルーライト」とは、人の目で見ることができる光(可視光線)の中で、最も紫外線に近い波長域(380~500nm)の青色光のことです。
- 可視光線の中で紫外線にもっとも近い波長域
- 高いエネルギーをもつ
- パソコンやスマートフォンなどのディスプレイや LED 照明に多く含まれる
エネルギー効率がよく、お財布や環境に優しいLED。便利さゆえに近年急速に普及しました。
実はこのLEDは、室内の照明だけでなくパソコンや液晶テレビ、スマートフォンや携帯電話の液晶画面の光としても使われています。
では、LEDの正体とは何なのでしょう。LEDの『白色』は、「青色」と黄色(または「青色」と赤色・緑色)の光を掛け合わせることで作られています。この『青色の光』こそがブルーライトです。従来の蛍光灯やブラウン管テレビにもブルーライトは使われていますが、それほど多くはありません。
ブルーライトには、
① 波長が短く光が散乱しやすい
② 網膜に達する光の中でもエネルギーが高い
といった特徴があります。
そのため目への負担が大きく、眼精疲労や網膜へのダメージが問題視されています。
波長が短い=光が散乱しやすい。
空気中のちりやほこりに当たり、散乱した光がブレやちらつきの原因になり、それを調節しようとするため目に負担がかかります。
可視光線は角膜や水晶体を透過し網膜に到達します。
その中で最も高いエネルギーを持つブルーライトは網膜にダメージを与えます。
※350~800nm の波長の光が角膜や水晶体を透過すると言われています
デジタルディスプレイから発せられるブルーライトは、目や体に大きな負担をかけるといわれています。
※サーカディアンリズム:サーカディアンリズム(概日リズム)とは、体温や血圧、ホルモンの分泌など 体の基本的な働きを約 24 時間周期で変化させる内因性のリズムです
LEDが普及したことで、私たちの生活はより便利により快適になりました。労働時間帯にLEDを上手に活用することで、太陽光を浴びられない環境にあった場合にもサーカディアンリズムを調整したり、作業効率を高めることが知られています。一方で、24時間光があふれる社会で生活することによるデメリットも理解し、一人ひとりが光と上手につき合う工夫をすることが大切です。
●夕方~眠前は照明設定に配慮する
夜遅い時間帯に強い光(特にブルーライト)を受けると、睡眠と関係の深いホルモン(メラトニン)の分泌を抑制し、サーカディアンリズムや睡眠に影響を及ぼす可能性があります。以下の点に注意して活動時間帯の照明設定と変化をつけると効果的です。
・必要以上に明るくしない
一般的な室内照明の場合、明るさに比例してメラトニンの分泌は抑制されやすくなります。こころもち 暗めに設定しましょう。
・色温度(光の色を表す単位)を調節する
光の波長(光の色)によってメラトニンの抑制度合いに差があり、青色光(ブルーライト)で抑制が生 じやすくなります。青色成分の少ない光(電球色と呼ばれる光など)を選択しましょう。液晶ディスプ レイ製品の多くは、色温度を調節することができます。
・スタンド照明(局部照明)を活用する
シーリング照明に比べて、スタンド照明では目に直接光が入りにくくなります
●デジタルディスプレイ機器で長時間作業を行う際は、適度な休止時間を設ける
厚生労働省のガイドラインでは、 VDT(デジタルディスプレイ機器)の作業時間が 1 時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において 1 回~2 回程度の小休止を設け ることが推奨されています。
(「VDT 作業における労働衛生管理のためのガイドライン」より)
【参考資料】
・職場のあんぜんサイト(厚生労働省):安全衛生キーワード:VDT 作業
・日本照明工業会:安全:LED 照明に関するご注意:ブルーライトについて
・ブルーライト研究会
この記事は、神奈川県川崎市高津区にある健診機関「京浜保健衛生協会」が執筆・監修しています。人間ドック/巡回健診/女性のための健診/がん検診など、健診でお悩みの際はお気軽にご相談ください。