28.ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)
~身体不調の原因は休日の寝だめのせい!?~|一般財団法人 京浜保健衛生協会

京浜保健便り

28.ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)
~身体不調の原因は休日の寝だめのせい!?~

保健師便り2018.08.03 14075view

ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」~身体不調の原因は休日の寝だめのせい!?~
いよいよ8月に入り、夏も本番を迎えています。寝苦しい夜が続いて疲れもたまってくる頃ですね。
待ちに待った夏季休暇では、日ごろの疲れを解消するために長時間の睡眠でゆっくり休養を!と考えている方もいるかもしれません。
でも、休日にたくさん睡眠をとったはずなのに、勤務日になったら“あれ、体がだる~い…”。 このように感じた経験はありませんか?

体がだるい原因は、もしかすると「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」が起こっているからかもしれない!?

「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」ってどんなこと?

「平日は仕事や学校、家事などの規則正しい社会生活を送っていても、休日前夜に夜更かしや休日に 朝寝坊をして就寝時間や起床時刻がずれると、それをきっかけに体内時計が乱れ、“眠気が取れない” “だるい”“頭が重い”…といった“時差ボケ”のような症状が起こること」を指し、10年前にドイツの研究者が名付けました。
これは、休日だけの生活リズムの乱れと軽く考えがちですが、体への影響は決して少なくないのです!!

夜型生活の人は朝型生活に比べて
『死亡リスク1.1倍、糖尿病リスク1.3倍
うつ等の精神疾患のリスク1.9倍』にそれぞれ上昇。

※生活が夜型になることで社会的時差ぼけが生じ、体内時計リズムが乱れることが影響すると考えられています。

最近 10 年の治験で睡眠障害以外のリスクが証明されています

自覚がない睡眠不足ほど危ない!?

●その1

「自分はよく眠れているから関係ない」と思われた方もいらっしゃるでしょう。しかし、油断はできないのです。 なぜならば、現代人の多くが自覚しない睡眠不足を抱えている可能性があること、さらに、自覚を伴わない潜在的睡眠不足でも、心身機能に影響があることが科学的に証明されているからです。

戦後70年の間に睡眠時間は1時間減少したとの報告もあり、2014年のOECD(経済協力開発機構)の調査によれば日本人の平均睡眠時間は7時間22分とOECD加盟国中最下位で加盟諸国の8時間25分と比べても1時間の差がでています。したがって戦後以降、日本人は潜在的に睡眠不足を抱えているといえそうです。

●その2

「寝だめでうまく調整しているから大丈夫」これは大きな間違いです。 なぜなら、週末の寝だめでは「心身のダメージ」は十分に回復できていないからです。にも関わらず、寝だめによって一時的な眠気が取れてしまうために、睡眠習慣を見直さず、ますます「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」が酷くなる悪循環にはまってしまうことになります。ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)は、「なんとか社会生活をやりくりできる」状態であるがゆえに、危険なのです。

『ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)』の影響は大人だけ??

 “ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)”は昼間の眠気が起こり、頭の働きの低下や抑うつを増やし、仕事のパフォーマンスも低下することが報告されています。この問題は大人に限ったものではありません。
“週末に朝寝坊をする子ども”は、平日は早寝早起きの生活を送っているにも関わらず、体調不良、かぜの引きやすさ、朝の不機嫌さなどの不調の度合いが「やや夜型」の子どもより大きかったという研究結果も発表されています。 これをきっかけにご家族で生活習慣の見直しをしてみませんか?

ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)を防ぐための5カ条

〜”休日の寝だめを抑える”ことで体内時計を調整していく〜

1、快眠はまずは規則正しい生活から

人は“寝だめ”ができないことが証明されています。規則正しい生活によって、体内時計がホルモンの分泌や生理的な 活動を調整し、睡眠に備えて準備してくれます。この準備は自分の意志ではコントロールできません。

体内時計を整え、体を睡眠に導くために毎日同じ位の時刻にベッドに入り、定時に目覚める習慣をつけ“寝だめ”を 避けることで体内時計の乱れを抑えられます。また、起床時間は2時間以上ずらさないようにしましょう。 睡眠不足な方は、睡眠不足解消のために 30分以内の短い昼寝をとることをオススメします。

2、夜遅い時間に食事をしない!

体内時計を整えるために規則正しい食事が望ましいです。食べ物が消化・吸収されるまでに2~3時間が必要となります。夜遅い時間に夕食をとると、胃の消化活動が活発になり、脳や肝臓の働きが活性化し、結果として睡眠が妨げられてしまいます。

3、光で体内時計を整える

朝に太陽光を浴びると体内時計が整えられます。起きたらまずカーテンを開けて、自然の光を部屋の中に取り込むと効果的です。 反対に夕方以降に強い光を浴びると睡眠が妨げられます。夜の光には体内時計を遅らせ夜型に近づける作用があり、時刻が遅くなるほどその力は強まります。照度が100~200ルクスの家庭用照明であっても、長時間浴びると体内時計 が乱れる原因になります。

スマートフォンやパソコンの画面にも注意が必要です。スマートフォンなどの画面にブルーライトが含まれており、体内時計に影響を与えやすいと言われています。スマートフォンは目のすぐ近くで操作するので特に影響が強いため、寝る前にはスマートフォンを操作しないようにしましょう。

4、適度な運動が良い睡眠をもたらす

日中に体をアクティブに動かし運動をする習慣のある人は、質の良い睡眠を得られるという調査結果があります。 運動の習慣化は、睡眠の質を高めるだけでなく、2型糖尿病や肥満の対策・予防にもつながります。 1日30分のウォーキングなどの運動がお勧めです。

5、入浴して深部体温をあげる

睡眠は体の深部体温(脳や内臓の温度)の変化と深く関係しており、高くなった深部体温が下がる時に人は眠気を感じます。就寝1~2時間前に入浴をすると深部体温があがり、その後に睡眠に入りやすくなります。

保健師便り

この記事は、神奈川県川崎市高津区にある健診機関「京浜保健衛生協会」が執筆・監修しています。人間ドック/巡回健診/女性のための健診/がん検診など、健診でお悩みの際はお気軽にご相談ください。

一般財団法人 京浜保健衛生協会

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