16.腸内フローラ|一般財団法人 京浜保健衛生協会

京浜保健便り

16.腸内フローラ

保健師便り2017.08.03 4778view

腸内フローラ
腸の中に棲みついているさまざまな種類の細菌がまるでお花畑([英]flora)のような様からそう呼ばれる「腸内フローラ(お花畑)」。
今月は、さまざまな病気のリスクだけでなく全身の健康状態に関係していることから、近年ますます注目される腸内フローラについてのおはなしです。

腸内細菌って・・・

私たちの腸の中にはおよそ100種類、100兆個もの細菌が生息しています。
腸内細菌は大きく分けると『善玉菌』『日和見菌(ひよりみきん)』『悪玉菌』の3つに分類されます。
腸内細菌の種類や数は、生活習慣、人種、年齢などにより異なります。赤ちゃんの腸内は乳酸菌が多く、加齢とともに悪玉菌が増え、ストレスや生活習慣・食生活の乱れ、便秘などが悪玉菌を増加させる要因となります。

バランスが崩れると・・・

善玉菌はとっても働き者です。
そのため腸内フローラのバランスが崩れて悪玉菌が優勢になると、便秘や下痢などのお腹の調子を悪くするだけでなく、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病や、肌荒れ、肩こりなど全身に関係するといわれています。
※右図の『粘膜免疫』は、細菌やウイルス、化学物質などの異物から身を守ります。

腸内フローラの観察

自分の腸内フローラは直接観察することはできません。
観察するもっとも簡単な方法は、「便を観察すること」です。理想の便は、黄色〜黄色がかった褐色で、においがあっても悪臭がなく、柔らかい棒状です。逆に、黒っぽく悪臭のある便は、腸内フローラのバランスが悪くなっている状態です。
また、便秘や腹部の張りが感じられるときもバランスが崩れているサインです。

理想的な腸内フローラ

腸内フローラのいいバランスは、善玉菌:日和見菌:悪玉菌=2:7:1と言われています。
健康な人の腸内では、善玉菌が乳酸や酢酸などをつくり腸内を弱酸性にすることで悪玉菌の増殖を抑えていますが、このバランスは、体調・食生活・年齢・ストレス・薬(抗生剤)の服用など、さまざまな要因で日々変化しています。

腸内フローラを育てよう

大人の場合は悪玉菌優位に傾きやすいため、腸内フローラにとっていい習慣を心がけ、腸内フローラを育てましょう!

【育成計画①】善玉菌を増やす

善玉菌は乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維を好みます。自分の好きなものばかりでなく、善玉菌の好きなものも意識して食品選びができるといいですね。

乳酸菌が多く含まれる食品
オリゴ糖が多く含まれる食品
食物繊維が多く含まれる食品
ヨーグルト
納豆
漬物
バナナ
玉ねぎ
ごぼう
野菜
穀物
大豆製品

【育成計画②】悪玉菌を増やさない

悪玉菌はたんぱく質を分解するので、肉や卵などのたんぱく質の多い食品を摂りすぎると悪玉菌を増やします。
また、脂質や甘いものの食べ過ぎも腸の動きを悪くし便秘の原因となるため、悪玉菌を優勢にしてしまいます。

【育成計画③】早寝・早起き・朝ごはん

排便リズムが整っていることは、腸内フローラにとっても重要なことです。
そのために、朝ごはんはしっかり食べること。朝ごはんを食べるために、いつもより少し早く起きる、いつもより少し早く起きるためにいつもより少し早く寝る。
「いつもより少し」というちょっとした心がけで、心にも余裕が生まれ、穏やかに一日を過ごせそうですね。

※参照サイト:『腸内細菌と健康|e-ヘルスネット情報提供-厚生労働省』

保健師便り

この記事は、神奈川県川崎市高津区にある健診機関「京浜保健衛生協会」が執筆・監修しています。人間ドック/巡回健診/女性のための健診/がん検診など、健診でお悩みの際はお気軽にご相談ください。

一般財団法人 京浜保健衛生協会

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