17.がん対策
保健師便り2017.09.03 10511view
日本人の死因の第1位はがんです。 男性は3人に2人、女性は 2人に1人 が生涯でがんを発症しています。がん対策は「予防」と「早期発見」の2段構えが大切です。
対策方法は、知ってからすぐに行動できることばかりですので、ぜひ生活の中に取り入れていきましょう。
がんの発症の原因は様々ですが、遺伝によるがんは約5%であり、喫煙や食事・運動などの生活習慣が原因であることが多いです。がんの発症リスクを大きく下げられるかどうかはあなたの生活習慣にかかっています。
タバコの煙に含まれる発がん性物質は、肺がんだけでなく多くの部位のがん発症リスクを高めます。タバコの煙は周りの方にも悪影響を及ぼします。自分の健康のためだけではなく、周りの方の健康のためにも禁煙しましょう。自分だけの力で禁煙が難しい場合は、禁煙外来を利用しましょう。
お酒の飲み過ぎは食道がんや大腸がん、乳がん等の危険因子です。飲み過ぎに注意して、1日の適量を守りましょう。目安はビール:500ml、日本酒:1合、ワイン:240mlです。
・塩辛い食品の取り過ぎは胃がんの危険因子のため、できるだけ避けましょう。厚生労働省は、1日あたりの食塩摂取量を男性は8.0g未満、女性は7.0g未満にすることを推奨しています。
・野菜と果物の不足と、がんの関係が指摘されています。野菜は1日350g以上(小鉢5皿分)取ることが目標です。1食に1、2皿の野菜を取りましょう。果物は毎日1皿分食べましょう。
・肉や乳製品などの取り過ぎと結腸がん、乳がん等の関係が報告されています。肉や乳製品などの取り過ぎを避け、魚類を取りましょう。
・熱いものは食道の粘膜を傷つけ、発がんのリスクを高めるため、少しさましましょう。
活発な身体活動は、がんの予防に役立ちます。階段を使ったり、歩く時間を増やすなど、現在の活動量を少しでも増やしましょう。また運動習慣をもつようにしましょう。
ご自身のBMI(体格指数)を確認していますか。BMI=(体重 kg)÷(身長m)2で求めます。BMI=22のときの体重が標準体重で、最も病気になりにくい状態であるとされています。
肝炎ウイルスは肝臓がんの主な原因です。B型・C型肝炎ウイルスは、主に血液や体液を介して感染します。現在中高年の方は、まだ感染リスクが明らかでなかった時代の医療行為などによって、知らないうちに感染している可能性があります。1度は肝炎ウイルスの検査を受けることが重要です。
●がん細胞の成長速度
がん細胞の成長速度をご存知ですか。がんは1センチ大になるまでに10年から30年かかります。しかしたとえば乳がんでは、1センチから2センチになるのに、たった2年弱しかかかりません。乳がんの早期は2センチまでを指し、1センチ以下のがんは診断が難しいとされています。がんを早期のうちに発見できる時間は1〜2年ですので、定期的に検診を受けましょう。
●がん検診の受診状況
平成28年の日本のがん検診の受診状況の統計では、肺がん検診が最も高く男性が約5割で女性は約4割、その他のがん検診は約4割であり、まだ低くもったいない状況です。多くのがんは早期で見つかれば適切な治療により、非常に高い確率で治癒します。進行した状態でがんが見つかった場合は、治癒率が下がり医療費もかかってしまいます。
●がんのイメージ
あなたにとって「がん」とはどんなイメージですか。強い痛みや入院や手術を思いうかべる方がいらっしゃるかもしれません。しかし早期がんであれば症状はほぼなく、症状が出る頃にはがんが進行していることが多いため、症状が出てから検診を受けるのは遅いです。また最近のがんの治療は、入院せず働きながら通院治療をする方向にシフトしています。がんを必要以上に怖がらず、早期に発見するために定期的にがん検診を受けましょう。
●5つのがん検診
厚生労働省が定める5つのがん検診は、死亡リスクを下げることが証明されている検診です。
種類
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頻度
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検査内容
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胃がん検診
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50歳以上/2年に1回※
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問診に加え、胃部X線検査又は胃内視鏡検査
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肺がん検診
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40歳以上/1年に1回
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問診、胸部X線検査又は喀痰細胞診
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大腸がん検診
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40歳以上/1年に1回
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問診及び便潜血検査
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子宮頚がん検診
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20歳以上/2年に1回
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問診、視診、子宮頸部の細胞診及び内診
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乳がん検診
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40歳以上/2年に1回
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問診及び乳房X線検査 ※触診は推奨しない
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※当分の間、胃部X線検査については40歳以上に対し、年に1回の実施も可。
【参考HP】 ・厚生労働省 がん対策情報
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/index.html
・国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス
http://ganjoho.jp/public/index.html
・がん対策推進企業アクション 等
この記事は、神奈川県川崎市高津区にある健診機関「京浜保健衛生協会」が執筆・監修しています。人間ドック/巡回健診/女性のための健診/がん検診など、健診でお悩みの際はお気軽にご相談ください。