36.暑い夏を元気に過ごそう!~夏バテ予防・対処法~
保健師便り2019.08.05 56775view
青い空、白い雲。 夏はイベントも多く、活動的に過ごされている方もおられるでしょう。一方で、暑い日が続いて気力と体力が奪われ、何だか調子が悪い…といういわゆる“夏バテ”の方もいらっしゃるかもしれません。今回は、これからも続く暑い夏を元気に過ごすための夏バテ予防とその対処法のおはなしです。
夏バテってどういうもの?
夏バテは『夏の暑さにより身体が衰えた状態』を指す用語です。夏負け、暑気あたりなどとも言われます。夏に起こす体調不良の総称なので人によって出る症状は様々ですが、倦怠感や疲労感、食欲不振などが多いようです。
夏バテの原因は…
何といっても“暑さ”そのものが原因となりますが、暑さから引き起こされる以下の要因が組み合わさることで夏バテになると考えられます。
自律神経の乱れ
自律神経は、様々な内臓器官の働きを調節する自分の意志ではコントロールできない神経で、体温調整も担っています。猛暑の屋外からエアコンで冷えた室内に戻るなどの急激な温度差が繰り返されると、この自律神経に大きな負担をかけることになります。自律神経の乱れは身体の種々の不調に通じてしまいます。
水分不足
夏は体温を下げるために汗を多くかき、体内の水分と塩分(電解質)が失われて脱水状態となることがあります。脱水状態では、体をめぐる血液の量が不足し、心臓や腎臓に負担をかけたり、細胞に必要な栄養素がいきわたらなくなることで身体の動きを鈍くさせます。熱中症に移行する恐れもあり危険な状態です。
睡眠の質・量の低下
エアコンの室外機や都市部の住宅密集化、自動車の排気ガス、アスファルトなどが原因で夜間も温度が下がりにくい現代では、熱帯夜が続くことも多く、眠りが浅くなって睡眠不足に陥ることがあります。心身の疲労を回復するために必要な睡眠の質・量が低下することで、不調を引き起こします。
胃腸の冷え
暑さはそれ自体が食欲を減退させ、また、この時期は冷たい飲み物や食べ物を摂取しがちです。しかし、冷たいものばかり摂っていると胃腸が冷えて消化機能が低下してしまいます。消化機能の低下はさらなる食欲不振を招き、下痢をしたり、栄養の吸収が妨げられて栄養不足の状態になります。
夏バテ撃退&予防法
空調管理・体温調整
室内と屋外で気温差が大きくならないような調整が必要です。室内温度が28度程度になるように空調を設定しましょう。湿度が高くなると不快に感じるため、除湿機能を使うことも有効です。公共の場などでは空調が効いているときもありますので、はおるものを持ち歩いたり、冷風に直接当たらないようにするなどの工夫もよいでしょう。
栄養のある食事
食欲不振などからくる栄養不足を補うため、少量でも栄養価の高い食事を心がけましょう。タンパク質やビタミン・ミネラル類を豊富に含んだものが理想です。梅干しや酢、レモンなどに含まれるクエン酸は疲れの原因になる乳酸の発生を抑えてくれます。
水分補給
発汗は水分だけでなく、塩分(電解質)も同時に失っています。特に激しく汗をかいたようなときはスポーツ飲料や経口補水液などによる水分補給を行いましょう。ただし、これらは常飲すると糖分やカロリー過多になるので要注意。涼しい室内では常温か温かい飲み物にすると胃腸への負担が少なくなります。食事で摂れる水分以外に、1.0~1.5リットルを200ml×6、7回にわけるなどしてこまめに飲むようにしましょう。
休養
睡眠の質は眠り始めの3時間にぐっすり眠れているかに左右されます。寝室を快適な室温にして入眠をサポートしましょう。一晩中冷房をかけていると体が冷えることもあるので、タイマー・除湿機能の利用や、可能であれば寝室入口のドアや窓を少し開けて空気の流れを作ったり、扇風機の首振り機能を使う、寝具に冷感マットやござ、吸・放湿性に優れた天然素材(綿、麻、絹など)を取り入れるなどのほか、氷枕で直接頭部を冷やすことも効果的です。睡眠不足を感じるときは昼寝を20分ほどとると疲労回復に役立ちます。
また、夏場もシャワーだけでなく湯船につかることでリラックス効果が期待できます。入眠を促す作用もありますから、ぬるめのお湯で身体を温めましょう。
適度な運動
暑い時期は涼しい部屋でダラダラと過ごしてしまいがちですが、適度な運動を取り入れることで血流が良くなり、運動で上手に汗をかくことで体温調節もスムーズにできるようになります。また、体温を上げる必要がない夏場は基礎代謝が落ち、意外にも太りやすい時期でもあります。体力を維持するためにも体を動かす習慣はぜひ取り入れたいところです。
でも、運動したくとも夏は熱中症が心配ですよね。そんな時は涼しい屋内でもできる運動やストレッチを取り入れてみてはいかがでしょうか。
夏に運動を行う上での注意点
・空調のない部屋や閉め切った部屋では行わないでください。
・屋内でも熱中症は起こります。無理をせず、不調を感じたらすぐに対処しましょう。
・日中に屋外で過ごし、日光を長く浴びている場合は自分で思うよりも疲労が蓄積しています。夕方以降は体を休め、無理な運動は避けるようにしましょう。
この記事は、神奈川県川崎市高津区にある健診機関「京浜保健衛生協会」が執筆・監修しています。人間ドック/巡回健診/女性のための健診/がん検診など、健診でお悩みの際はお気軽にご相談ください。