
婦人科結果の見方
子宮
子宮頚がんは子宮の入り口付近(頚部)にできるがんで、その原因のほとんどがHPV感染です。
※HPV(ヒトパピローマウイルス)は皮膚や粘膜に感染するウイルスで100種類以上あります。現在では予防ワクチンが開発され、発がん性の高いウイルスに対して予防効果が確認されていますが、早期に頚がんを発見するためには定期的な検査が欠かせません。
内診
膣や子宮(大きさや硬さなど)、卵巣などの状態をみます。
細胞診
綿棒などで子宮の入り口(頚部)をこすり取り細胞を調べます。
細胞診の結果は以下のような内容でお知らせします。
ベセスダシステム分類
略語 | 結果 | 推定される病理診断 |
---|---|---|
NILM | 陰性 | 腫瘍性細胞所見を認めない場合・炎症 |
ASC-US | 意義不明な異型扁平上皮細胞 | 軽度の異型細胞が認められる |
ASC-H | HSILを除外できない 異型扁平上皮細胞 |
ヒトパピローマウイルス感染・軽度異形成 |
LSIL | 軽度扁平上皮内病変 | 異常所見を認めますので念のため6か月後に再検査をお受けください |
HSIL | 高度扁平上皮内病変 | 中等度異形成・高度異形成・上皮内癌 |
SCC | 扁平上皮癌 | 扁平上皮癌 |
AGC | 異型腺細胞 | 腺異型または腺癌疑い |
AIS | 上皮内腺癌 | 上皮内腺癌 |
Adenocarcinoma | 腺癌 | 腺癌 |
other malig. | その他の悪性腫瘍 | その他の悪性腫瘍 |
乳房
視触診
乳房の大きさや形、皮膚の状態、腫瘤(しこり)の有無(あった場合は大きさや硬さなど) などを観察します。
主な所見の説明
乳腺症 | 女性ホルモンの影響を受けて生じた乳腺の変化(生理前の少し張った感じのような状態)が認められる所見です |
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乳頭びらん | 乳頭が赤くただれている所見です |
腋窩リンパ節腫脹 | わきの下のリンパ節が腫れてしこりが認められる所見です |
超音波検査
超音波をあて乳房の中を観察します。乳腺密度の影響を受けない検査ですので、若年の方に適しています。
主な所見の説明
乳腺のう胞症 | 乳腺内に水の入った袋状のものが認められる所見です |
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乳腺線維腺腫 | 良性の乳腺腫瘍をいいます。自己触診で弾力に富んだしこりとして触れることもあります |
個数と大きさ
当協会での大きさ表記は5mmあるいは10mm単位で、最小数値以上~最大数値未満を意味します。原則として長径を表記し、複数(2コ以上)の場合は最大のものを報告します。
(例)右側乳腺線維線腫5~10mm…5mm以上10mm未満の乳腺線維線腫が1コあり
左側乳腺のう胞複数10~15mm…乳腺のう胞が2コ以上あり、最大ののう胞における一番長い辺が10mm以上
15mm未満
※条件によって計測値は変動することもあります。
マンモグラフィ
触診ではわからない小さなしこりやしこりになる前の乳腺の異常をみつけることが出来ます。
乳腺密度の高い若年の場合は全体的に白っぽく写ることがあり、異常の発見が難しくなることがあります。
主な所見の説明
乳房石灰化 | 乳房内にカルシウム沈着がみられる所見です 明らかに良性の石灰化と良悪性の鑑別が必要な石灰化があります |
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局所的非対称性陰影 | しこりや乳腺とは言い切れないもので部分的に片方だけみられる濃い陰影です 病変が隠れていることもあります |
しゅうぞくせいいんえい 集簇性陰影 |
石灰化陰影が小範囲に限局している所見です |
構築の乱れ | 正常の乳腺組織がゆがんでみえる所見です |
乳房腫瘤 | しこりが認められる所見ですが良悪性の鑑別が必要な場合があります |
カテゴリー分類について
マンモグラフィで認められた腫瘤・石灰化などの所見に対し、検診で要精査とされた病変を精査する医療機関が、正しく理解、治療する手助けとして付けられるものです。
カテゴリー | 意味 |
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1 | 異常なし |
2 | 良性、明らかに良性と診断できるもの |
3 | 良性、しかし悪性が否定できず |
4 | 悪性の疑い、悪性の可能性が高いが良性のこともありうるもの |
5 | 悪性、ほぼ乳がんと断定できるもの |
■日本医学放射線学会/日本放射線技術学会編「マンモグラフィガイドライン」より
乳腺評価について
乳房内の乳腺実質の量と分布(脂肪の混在する程度)に関する評価で、マンモグラフィ検査において、病変が正常乳腺に隠されてしまう可能性の程度を示すものです。
乳腺評価 | 意味 | マンモグラフィでの病変の検出 |
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脂肪性 | 乳房はほぼ完全に脂肪に置き換えられている | 容易 |
乳腺散在 | 脂肪に置き換えられた乳房内に乳腺実質が散在している | 比較的容易 |
不均一高濃度 | 乳腺実質内に脂肪が混在し、不均一な濃度を呈する | やや困難 |
極めて高濃度 | 乳腺実質内に脂肪の混在はほとんどない | 困難 |
※「極めて高濃度」の方は、乳腺濃度に影響されない超音波検査の併用をお勧めします。
■マンモグラフィによる乳がん検診の手引き-精度管理マニュアル-第5版 p74
乳がん検診の比較試験プロジェクトについて
現在、厚生労働省は40歳代の女性を対象に超音波検診を併用する検診と併用しない検診(マンモグラフィのみ)の比較試験を実施しています。
~乳房のセルフチェックを行いましょう!~
乳がんの症状の中で一番多いのはしこりです。入浴時などにご自身の乳房をよく観察し乳房を見て、触って観察してみましょう。 しこり以外にも乳首からの分泌物の有無や脇の下のリンパ節の腫れの有無などを確認しましょう。(異常を感じた時には、自己判断せず乳腺科に受診してください)
ご注意!
検診結果で受診の指示を受けた場合には、必ず乳腺科または乳腺外科に受診し、確定診断と今後のフォローの仕方を主治医に確認しておくようにしましょう。